バンコ

 バンコの名前は「番長」である。5人兄妹として千葉県で生まれ、大人になるまでそこで育った。末っ子の女の子で、体が小さく、4人の兄たちからいじめられては可哀そう、と強い名前をもらった。女の子だったのでいつの間にか「バンコ」と呼ばれるようになった。
 バンコが私のところに来たのは2005年の冬である。以来、2013年に亡くなるまで私の傍にいて生活に味わいや慰めを与えてくれた。亡くなる1年くらい前からバンコの体が弱ってきた気配を感じたので折に触れ、写真を撮るようにした。
 水しか飲まなくなってひと月ほど経った冬の寒い夜、ヨタヨタと歩いてきて私の枕元にしばらく座っていたのが最期のお別れのあいさつであった。体はなくなってしまったけれど、バンコの魂は今も私の近くにいるような気がする。

                                      2017年6月 山内道雄